美しいイタリアのデザインをもち、気持ちのいいイタリア製のエンジンを積んだ”日本製のクルマ”
そんな誰もが思い浮かべたことのある”理想論”
それが叶う…という奇跡が起こるのかと登場時には驚いたものです
1970年代に登場した”初代124スパイダー”
後輪駆動でボックススタイル、イタリアの実用的な大衆車フィアット124シリーズをベースに
2ドアのオープンスポーツスタイルで登場し
気軽に乗れるオープンスポーツカーとして人気を博し
そのパッケージングの良さから、ラリーなどの競技を制すためのバトルマシンとしても活躍した
そんなフィアット史に残る名車124スパイダー
その復活と称して生み出されたのが、今回ご紹介する
新生”124スパイダー”だ
そしてそれは、まさかのカタチで登場する
当時結ばれたマツダとフィアットの技術提携の一環により
ロードスターの骨格をベースに、イタリアのデザインをまとい、イタリアのホットなエンジンを搭載、しかもマツダの工場で生産するという
まさかの超絶ウルトラC、たぶん多くの車好きがこの一方を聞いて驚きひっくり返っただろう
かくいう私もそのうちの一人
この提携の背景にはマツダ側は本社工場の生産効率を高め、フィアット側は日本製と言う圧倒的なブランド力で商品力を高める狙いがあったというが…
まぁその結果については正直どうでもよくて
何よりも、この奇跡とも言えるコラボレーションによって生み出されたのは
歴史に残る名車
イタリア車の楽しさと、日本車の楽しさ
フィアットアバルトの楽しさと、ロードスターの楽しさを融合した
「楽しい!を伝える伝道師」ともいえるクルマだった!
ベースとなったのは軽量コンパクト×FRという
スポーツカーとして黄金のパッケージングをもつ”ND型ロードスター”
その骨格には、かつての往年の名車である124スパイダーをオマージュした
クラシカルかつモダン、そしてスポーティさを兼ね備えたスタイリングのボディを
そしてアバルトらしいヤンチャで攻撃的なデザインに合わせて、
ブースティなフィーリングが魅力のイタリア製の1.4リッターターボエンジンを搭載した
もちろんトランスミッションは6速MT
その小気味のいいターボエンジンを自らの手足で操り、軽量車体×後輪駆動×MTで思う存分に駆け巡れる
オープンスポーツとしての理想形が生み出された
しかもそれが、ロードスターと同じ日本のマツダの工場で組み上げられるっていうんだから
見た目よし!走りよし!信頼性よし!組立精度よし!(イタリア製比)
などなど正に、もう夢の組み合わせがつまった1台だっただったわけです
ある意味、自動車史における奇跡の一台だったかもしれません 言いすぎでしょうか?w
しかしがなら、そんなコラボもそう長くは続くことはなく、「フィアットの将来においては重要ではない」という事となり、コラボレーションは終了してしまった
124スパイダーが製造されたのはフィアット・アバルト合わせても2016年~2020年の僅か4年間のみ。
兄弟関係にあるNDロードスターは2015年の発売から10年以上たっても製造が続けられていることを考えれば…その蜜月っていうのはあまりにも一瞬だった
となると124スパイダーというクルマは、本当に”奇跡”のような出来事だった訳で
このクルマを手にすること自体が、ちょっとした自動車史の歴史の1ページを手にすることと同じかもしれない
…とつらつら書いたところで、これもまた重要ではない
何よりも大切なのは、このクルマがものすごく楽しいクルマだっていうこと
この奇跡のコラボレーションによって生まれた、日本生まれのイタリア車は
イタリアデザイン×イタリアエンジンというイタフラ車の楽しさと、日本車スポーツらしい軽快感とFR×6MTの黄金の融合で
間違いなく、走りの楽しさを乗り手に伝えてくれる
日伊両国の”走りへの想い”が生み出した、奇跡のコラボレーション
楽しい!の伝道師 アバルト124スパイダー
このクルマで見たい景色はどこですか?

アバルト124スパイダーのデザインは、クラシカルかつ攻撃的なスタイルが特徴的
エクステリアのデザインはフィアットが担当、骨格こそNDロードスターと共有はするものの
マツダとはボディパネルからして全く別なもの

NDロードスターから前後オーバーハングを延長し、全長を140mmを長くすることにより
フロントからリアまで、まるで優雅なスピードボートのような直線的なラインを作り出し
そこへつながる角型のテールレンズ
1970年代の初代124スパイダーの美しいシルエットを再現している

そして”アバルトバージョンであるアバルト124スパイダーは、
クラシックな雰囲気の中に、ヤンチャで攻撃的なアバルトらしいフェイス
往年の名車である”フィアット・アバルト124スパイダー ラリー”をオマージュしたスタイリングをもつ
迫力のフロントマスク、ボンネットに刻まれたパワーバルジや六角形フロントグリル
ちょっと奥まった位置に配される丸形モチーフのヘッドライト
ひと目でアバルト124だとわかる力強い表情です。

そしてこの124スパイダーがまとう赤きボディカラーも、ラリーに因んだ名前が与えられている
Rosso Costa Brava 1972
1972年にスペインの海岸地帯で開催された「ラリー・コスタ・ブラバ(Rally Costa Brava)」
において、初代の「フィアット 124 アバルト・ラリー」が勝利したという
歴史的な快挙にちなんで命名されている
アバルトモデルらしく、熱き走りのハートが込められたエクステリアだ

STsuspension製の車高調でスッと落とし、ガルビノ製のメッシュホイールを装着し
よりヤンチャな走りの雰囲気を増幅させていますよ

ロードスターがマツダ製の自然吸気エンジンを搭載したのに対し
124スパイダーに搭載したのは全くの別物。しっかりとイタリアの血が流れている。
搭載するエンジンはイタリア直産、きちんと向こう仕込みの
フィアット・アルファロメオ系のイタリア製パワーユニット
1.4リッターエンジン「マルチエア」16バルブ・ターボエンジン
アルファロメオ・ミトやフィアット500Xなどに搭載されるFCA系の主力級エンジンだ

それをフロント縦置きで搭載
そのスペックは、170ps/5500rpm 250Nm/2500rpmのパワー&トルクを誇る。
数値上では、現代のダウンサイジングターボにおいては派手なものではない。
むしろ170psですと、割と普通…?と思うかもしれませんが
乗ってみるとコレが”ちょうどいい”弾ける刺激”なんですよ
よくよく考えてみれば、ベースのロードスターの主力は1.5リッターの自然吸気
馬力は130psでトルクは150Nmほど。トルクはざっと100Nmも違う
そんな1.1トンほどの軽量車体に170psで250Nmのトルクのエンジンを載せたら…そりゃぁ速いですよ

NDロードスターの「少ないパワーをキープして走らせる楽しみ」も魅力的ですが
124スパイダーの魅力は、「わかりやすいターボパワー」
自然吸気のナチュラルなフィーリングのロードスターとは異なり、明らかに”ターボのロケット加速”を感じられること
昨今のダウンサイジングターボ、なるだけ自然吸気に近いフラットなフィーリングにしがちなのですが
イタリア人、つまらないものは作らない主義が炸裂
ブーストがかかった瞬間にグッと押し出される、ターボエンジンらしい力強い加速感が楽しめる味付けにわざとしてあります
しかも2,500rpmの低回転から250Nmの最大トルクを発生しているのがポイント
走り始めの瞬間+αから、グググッとブースティなフィーリングを味わえるのです
街中でもワインディングでも、アクセルを踏み込めばカッ飛びフィーリングを気軽に味わえる
そんな日常の景色がグッと楽しくなるエンジンなんです

そんなアバルトらしいヤンチャなフィーリングを更に色濃く味付けるのが
レコルドモンツァ製のエキゾースト
アバルト595シリーズではもはやお馴染み!なヤンチャなターボ4気筒らしい音を奏でる
”あのエキゾースト”です
厳密にいうと、アバルト500系統とは別のエンジンなんですが、するんですよ595シリーズと同じ
ゲロゲロとしたあの”アバルトサウンド”が
FRのオープンスポーツで、ターボパワーを感じながら駆け抜ける
アクセルを踏み込めば、ヴァァァン!という激しく弾けるようなサウンドを放つ。
官能的な音響世界を満喫できます。
FRスポーツに乗っているのに聞こえてくるのは”アバルトのそれ”
アバルト500に触れたことがある方からすると、ちょっとこれは新感覚かもしれません
アバルトらしいキャラクターに仕上げるべく、しっかりと作り込んであるんですよね124スパイダー

そんなマルチエアターボエンジンに組み合わせるトランスミッションは、
カチッした重厚で節度あるシフトフィールが特徴の6速のマニュアルトランスミッション
同じ6速MT搭載!となると、兄弟車であるNDロードスターのミッションを使っているのかと思ったら
実のところ、ちょっと違う
NDロードスターのミッションでは、ターボエンジンの大きいトルクに耐えられないため
(NDのミッションってエンジンに合わせこんでギリギリまで軽量化された設計だったり)
124スパイダーでは、ターボのパワーとトルクに堪えられるように、
マツダのNC型ロードスターの6速MTをベースに強化されたトランスミッションを採用しています
(先代NC型は2リッターでしたね)
低回転からグググッとくるターボパワーをMTであやつる、これが結構楽しいんです

サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンク
コーナリングマシンとして定評のあるロードスターのシャシーをベースにしていますから、その追従性の高さはお手の物
トルセンLSDも標準で装備しますし、アクセルでコントロールするFRらしい走りもしっかりと楽しめます

ブレーキはブレンボ製の4ポッドキャリパーが標準で備わります。
走る曲がる止まる、ロードスターがベースというのもあり
最初からしっかりとドライビングを楽しめるパッケージングを手に入れているのが124スパイダーの特徴的なポイントです

インテリアは基本的なところは、ベースとなったND型ロードスターに準拠したもの
スエード生地やレザーを使い、ステアリングもアバルトのロゴが入り特別感を演出しています
しかしながら、基本的なレイアウトはNDロードスターと共通
フィアット・アバルトらしく、ガラッとインテリアデザインも変えてくれたら嬉しかったな…って声が聞こえてきそうですが
ロードスターのインテリアを使っているっていう事は、
”ポジティブに考えれば”
あのロードスター開発陣がコダワリを尽くして作り出した「ドライビングに集中できる」パッケージング
これをほぼそのまま使えるってことなんですよね

思い返せば、イタフラなどのラテン車の右ハンドル車って、操作類の位置関係がおかしかったりと
ドライビングポジションに明らかなズレがあったりとするものですが
この124スパイダーだったら、”それ”が無い訳です
正しい位置に、正しいものがあり、ステアリングやシフトレバー、ポジションに違和感がない
ドライビングに集中できる環境がそろっているわけです
まぁ、「日本生まれ」なので当たり前ではありますが
イタリアの血が確かに流れてはいますけど、ちゃんと日本生まれ
日本流の細かい心遣いや気配りなどが身についてるわけです
これはマツダのロードスターと骨格を共通としたからこそ、得られた大きな恩恵のひとつではないでしょうか?

シートはアバルト専用のスポーツシートを採用。
この個体には革スポーツシートが選択されています
センター部分のリブのデザインにロードスターとは違う、イタリアっぽいデザインセンスを感じますよね
その座り心地は意外にもしっとり。
イタ車にありがちな見た目だけで滑って体をホールドしないようなシートではなく
しっとりと適度にカラダが沈み込み、快適。そして適度にアップライト具合で視界も比較的良好。
シートヒーターに加え、シートにスピーカーも仕込んであったりと、快適装備も備え、比較的長距離のドライブにも対応してくれそうですね

トランク容量は140L。機内持ち込みサイズのキャリーバッグを約2つ収納可能。
実はリアオーバーハングのデザインの違いによりロードスターよりも約10リットルほど大きいトランク容量をもっていたりします
アバルト124スパイダーで行く小旅行、行先はどちら?
見た目は完全にイタリア人
フィアット・アバルト、イタリアの家の子だから…とイタリア語で話しかけたら
流暢な広島弁で返ってきた
そんな感じの意外性、それが124スパイダー
何を隠そうにも、このクルマは広島のマツダ宇品工場製
あのロードスターと骨格を同じして、同じ工場で生産されている
見た目も心臓も、しっかりとイタリア仕込み
でもしっかりと日本語で意思疎通が出来ちゃう
話だけ聞くと、とんでもない不思議ちゃんみたいな感じはあるだろう
でも、その実、思ったよりも距離感が掴みやすいはずだ
どこかイタリア車というと ある種、宇宙人的ともいえる謎の価値観や視点、言語で物事を進めだすが
このクルマは日本語で話しかければ、日本語で返してくれる。クルマの動きだって、意思疎通がしやすい。そんな今までのイタリア系になかった距離感の近さがある。
でもそこに退屈さなどはない。イタリア人の熱き走りへの想い、デザインセンスが確かにそこにある
でも同時に感じられるその操作感は親しみやすい日本車の感覚のそれ
まさにいいとこどり、両方兼ね備えてるんだから他に言うことはないでしょう?
もしかしたら今までのフィアット家系のクルマたちの中で、一番距離感が掴みやすいクルマなんじゃないだろうか?
イタリア車、乗ってみたいけど色々と不安で…という初めてな方はもちろん
今まで日本でイタフラを乗ってたからこそ、日本製の安心感が嬉しいよねっていう玄人な方にも
両方、どんな人にでも明るく接してくれて、気軽にドライビングプレジャーの世界に連れて行ってくれる
そんなかつてないほどの、フレンドリーな”イタリア”、手にしてみませんか?
発売から4年の販売期間の間に日本で登録された台数は2224台
ロードスターの販売台数と比べれば、かなりの少なさ。今となっては貴重な一台ですよね?

◇◆お知らせ◆◇◆
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【野中誠太選手プロフィール】
・2000年生まれ/埼玉県川口市出身
・2021年 FIA-F4日本選手権 シリーズチャンピオン(6勝)
・2024年 スーパーフォーミュラ・ライツ シリーズ3位
・2022年よりSUPER GT・GT300クラスに参戦(2024年:シリーズ9位/埼玉Green Brave)
・2025年 全日本スーパーフォーミュラKDDI TGMGP TGR-DC、SUPER GT 埼玉Green Brave、
SUPER 耐久 埼玉Green Brave、GTアジア TOYOTA GAZOO RACING INDONESIA参戦中
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