
ひとたび、そのクルマを目の前にすると思わず
ハッと息を吞む…
そのシャープで伸びやかな美しきボディ、ストレート6の鼓動
気品と力強さ、優雅さと適度に張りつめたBMWらしい緊張感
その佇まい。確かなオーラ、存在感。
これはデジタルには作り出せない、機械仕掛けの色気だ
今回ご紹介するのは
時に”世界一美しいクーペ”とも言われた
初代BMW 6シリーズ E24型。その高性能モデルである
”635csi”

それは現代では作れないアナログな「エレガンス」の塊。
薄くシャープで流麗なボディに搭載されるのは、大排気量ストレート6
エンジンを掛けたその瞬間、心地の良いヴァリトンボイスで目覚める”ビッグシックス”
確かな存在感を放ち、機械らしい金属の心地よい響きを奏でるそのストレート6エンジンだ
その絹のようなフィーリングと心地いいサウンドは他に代えがたい。
アクセルを踏み込んだ時のカムに乗ったようなパワーの盛り上がり、絹のような滑らかと金属感を確かに感じられる機械的フィーリング
心地の良い直6特有の包まれるようなメカノイズもしっかりと飛び込んでくる
その時の心地の良さと言ったらもう…言葉にできないほどだ
しっかりとしたバッファローレザーのシートに腰を掛け、大きいステアリングを握り
その時、目に入るのは。
直線基調でドライバーオリエンテッドなコックピットのような
当時なBMWらしいインテリアと、アンバーの照明
そして細いピラーと広いガラスエリアが成せる、広い視界
そこに音楽と言うものも、欠かせない
このクルマが生まれ、日本に来た80年代に想いを寄せ
その年代の音楽をステレオから流せば、たちまちタイムマシンへと変化する
サンルーフをチルトさせ、ドナルド・フェイゲンを流し夜の首都高をクルージング

きっと私だったら、そうするだろう
その時、飛び込んでくるエンジン音、ミュージック、そして流れる景色すらも、このクルマのアクセサリーになる。
クラシックで美しい大柄なクーペで
滑らかで力強いストレート6の鼓動と一緒に、穏やかにクルージングしているその瞬間は
たとえ日常であったり、ちょっとしたドライブであったりも特別な旅へと変えてくれる
まるでここだけ別世界にいるような…そんな感覚になるのだ
まるでタイムマシンだ。古い車ってのにはそんな不思議な力があるのです
タイムパフォーマンスやコストパフォーマンスという物差しで物事を図り勝ちな現代
現代のスポーツカーと比べると決して速くはないかもしれないが
そういうクルマではないのは…わかるでしょう?
このクルマにもそんな物差しをもって接するのは
文化的ではない、強い言い方をすると浅はかだ。
古き物を愛し、操り「時間という贅沢を、ゆったりと味わう」
という「情緒的なクルマの楽しみ方」
というのも、今の時代案外大切なことなのではないかと思う
なんでも機械任せ、そんな最新のクルマももちろん良いが
多少、手はかかるかもしれないが、クルマはきちんと応えてくれるはずだ
アナログなクルマじゃないと感じられないエレガンスさがそこにある
基本性能に優れ実用性にも富んだドイツ車らしく実直でありつつも
他のクルマには出せない特別な魅力を兼ね備えた
アナログ時代、機械仕掛けのエレガンス
麗しの”GTカー”
それが 635csi というクルマなのです
当時のBMWのフラッグシップクーペとして登場したE24型6シリーズ。
シャープで伸びやかなデザインと
往年のBMWにおける象徴である丸目4灯のヘッドライトとロング&逆スラントノーズから生まれる端正なフロントマスクが特徴だ

1988年式、最終型の最大の特徴がこのバンパー。
それ以前が、金属製のアイアンバンパーであったのが、北米の5マイルバンパー規制等に対応した
ボディ同色の大型樹脂製バンパー、世界統一なデザインに変更されたのがポイント。
また、ヘッドライトが丸目の中にプロジェクターが入ったタイプに変更された
これにより、クラシカルな雰囲気に、現代的な力強さと一体感が加わったモダンなデザインになったのが特徴。

また、低いトランクデッキを持つワイド&ローな美しいデザイン。
現代の車では不可能なほどAピラー・Bピラーが細く設計されており、ガラスエリアが非常に広く見えるのもポイントだ

Cピラーの付け根には、BMWのアイコンである「ホフマイスター・キンク」と言われる逆反りのカーブが美しく刻まれており、サイドシルエットの伸びやかさを強調しています。
空力や燃費などを気にせず理想のスタイリングを追求した、割り切りの美学を感じるエクステリアだ。

そんな世界一美しいクーペとも言われたE24型6シリーズ。
今回ご紹介するのは高性能モデルである635csi。大排気量の直6エンジンを搭載し、実用性にも富んだ、基本性能に優れた豪華なGTカー的な一台だ
パワーユニットは「シルキーシックス」と言われる大排気量の直6エンジン。
後期型635CSiは、85年に633CSiと切り替わるかたちで登場したM30系の3.5リッター・エンジンを採用したモデルだ。

最終型の635CSiに搭載されるのは、3430ccの排気量を与えられた
通称”ビッグシックス”と言われる直列6気筒SOHC
「M30B35」ユニット。
当時最先端のDMEⅢが組み合わされ、日本仕様は
最大出力 211ps/5700rpm
最大トルク 31.1kg・m/4000rpm
を発揮する
そのフィーリングはまさに絹のよう、言葉通りのシルキーシックスのそれ
というか、シルキーシックスの語源って実はこのエンジンだったりします
そのとにかく滑らかに力強く吹け上がっていくフィーリングは他に代わるものが無いといっても過言じゃない
さっとアクセルを踏み込んであげるだけで、ゆったりと余裕をもって、トルクフルに滑らかに加速していく
そこに加速してますよ!っていう大げさなアクションもあまりなく、ササッと速度に乗せるジェントルなフィーリング
かつ退屈さを感じさせないBMWらしい、エンジンの気持ちよさ
カムに乗った瞬間のパワーの盛り上がり、機械的フィーリングやダイナミックで心地の良いメカノイズもしっかりと届けてくれる
その時の低く心地の良いジェントルなストレート6サウンドの良さと言ったらもう…言葉にできない
それに気を良くしてアクセルに足を乗せていれば
気が付けば、あっという間にしっかりと速度が乗っているのだ
これがまた、BMWらしいポイントだろう

もし速さや刺激を求めるなら、M1直系のM88エンジンを搭載する上位モデルであるM635csi(M6)があるが
どちらかというと、635csiは尖ったモデルというより、大きいエンジンのトルク感で、よりゆとりを感じさせる走りを実現するという
フラッグシップクーペらしい位置づけと言えるでしょう
組み合わされるトランスミッションはZF製の4速オートマティック「4HP 22」

大きな排気量のストレート6をゆったりと乗るには最適ではないでしょうか。
プログラムセレクタ付きで、スポーツや1~3速固定で選択できるなど
スポーツカーらしくも走らせられるギミックもついていたりします
それにしても、横グリップタイプのシフトレバーに、Pから1レンジまで一列に並んでいるのが航空機を思い出させる形状なのが素敵です
メーターは当時のBMWらしいシンプルなレイアウト。

ぼんやりとアンバーの照明で浮かび上がるのがこの年代のBMWらしくてステキです
トップスピードは約220 km/h 0-100 km/h加速は約7.5秒を誇りました
当時としては非常に優れた高速クルージング性能を持つラグジュアリークーペでした。
足回りはフロントがマクファーソンストラット+ロワーウィッシュボーン リアがセミトレーリングアームの全輪独
立懸架式。

その長い車体とゆとりをもったホイールベースの車体と相まって作り出されるのは
しっとりとしながら芯のあるフラッグシップクーペらしい安定した走りを叶えてくれます
基本的にオリジナルを保った一台ではありますが、タイヤ&ホイールには手が入れられ、16インチ化されています

オリジナルが当時のインチではなくミリでつくられたミシュランが独自規格したサイズ、TRX規格を採用しており
220/55 R390 や 240/45 R415という 特殊サイズが装着されていました
ミシュランのクラシックタイヤと言う形であれば購入することは可能ですが、しっかりと高額ですので
入手のしやすさや価格面を考慮しての16インチ化かと思われます
16インチ化しても選ぶタイヤはコンチネンタル。こだわりですね
ご希望であれば、こちらも純正ホイールをお渡しすることは可能です
インテリアは、基本的にはこの時代のBMWに共通している
直線を基調としたデザインに加え
センターコンソールが明確に運転席側へと傾けられた、航空機のコクピットを思わせる設計に
すべてのスイッチ類がドライバーの手が届く範囲に人間工学に基づいて配置されており、運転への高い集中力を促す
ドライバーオリエンテッドコクピットが採用されているのが特徴

ダッシュボードが階段状の二段構造になっていて、空調の吹き出し口が奥の方にある特徴的なデザインだ
インテリアはバッファローレザーを多用したこの年代のBMWらしいラグジュアリーさをもつ。
シートはショルダー部分がしっかりとしたスポーツシートで快適性とホールド性を両立しています

80年代のクルマながら、電動シートとシートヒーターを搭載

さすがBMWのラグジュアリークーペ。現代のクルマと遜色ないくらいには細かく調整できるのが素晴らしいポイントですよね
この車は「2+2」のクーペですが、後席は単なるオマケではない
リアシートもバッファローレザーで仕立てられ
左右が明確にセパレートされたホールド性の高いバケット形状になっています。

リアシートの中央には大きなコンソールが鎮座し、ラグジュアリーな「4人乗りGTカー」としてのプライベート感が強調されています。

また後期モデルではリアシート専用のエアコンシステムが搭載されるなど、装飾よりも実用的な装備や快適性を重視しているのがドイツ車らしいところですね
オーディオユニットはルノーのカングーの純正オーディオを流用しています

シンプルなデザインと照明もアンバー系と、80年代~90年代くらいの欧州ネオクラ車にフィットするうえ
CDやAUX、Bluetooth接続も可能と現代的な機能も備えてます
デザインを大きく崩さずに利便性もしっかりアップデートできますので、知る人ぞ知る、オーディオ流用のひとつだったりします
ちなみに純正の状態はおそらくオプションのSONY製のカセット&10連奏のCDチェンジャーのセットでした

ここにCDを10枚セットして、気分によって音楽を変える…
サブスクリプションが台頭する現在では、全く見なくなってしまいましたね
エアコン吹き出し口の片側がCDチェンジャーの操作パネルになっているがポイントです

純正のオーディオも保管していますので、ご希望であればお渡しすることも可能ですが、年代物な故、しっかりと動作するかは未確認ですので悪しからず…
トランク容量は335Lを確保。ボディラインを優先した「美しいクーペ」でありながら、実用性もしっかりと確保されています。

日常の買い物から長距離ドライブまで対応できる設計になってるのがE24型6シリーズの良いポイントです。
お好きな音楽を流しながら、優雅にクラシックBMWでクルージングする時間
それはもうステキな時間になること間違いなし
日本仕様の証、正規輸入車を証明するプレートや
当時の排出ガス適合や”運輸省”の型式認定のステッカーも比較的状態良く残っているのもポイント

最近のBMWでしたら、もうわざわざこういった事はしなくなりましたが
当時はまだまだ外国車が珍しく、”舶来品”であったという事がチラッとうかがえる訳です

劣化はしてしまっていますが、当時のBMWジャパンのステッカーも残っています
よく見ると “West Germany”の文字が入っているんです

そう、このクルマは”西ドイツ製”。ベルリンの壁の崩壊、その前に作られた車なんです
なんとことはないのかもしれませんが、個人的にはこういったポイントにロマンを感じるんですよね
こういう自動車というものを通じて世界の歴史やその時の情勢、文化や人の動きってのを感じることが出来るってのも
ネオクラシックやクラシック、”古い車”だからこそ感じ、触れられること
これもまた、自動車という文化の素晴らしさの一つだと個人的には思うのです
デジタルには作り出せない、機械仕掛けの色気。
直線基調で描き出されたシャープで伸びやかなボディ
そしてキーを捻った瞬間、目覚めるストレート6「M30エンジン」
その硬質なハミングが、退屈な日常を特別な旅に変えてくれる。
そんな美しきBMWクラシックなクーペ
現代では作れないアナログな「エレガンス」の塊。
大排気量ストレート6の絹のようなフィーリングと心地いいサウンド。
薄く流麗なボディ。
流れる景色すらも、このクルマのアクセサリーになる。





